教育的なスタイル

「なぜ?」ボタン

ジェウェル・コッブ(Jewel Cobb、科学者、教育における少数派の権利のための活動家)は私にK-12教育(義務教育)のためにハイパーテキストを作成している人に助言するように求めました。私が即座に思いついた最も重要なことは「なぜ」のリンクでした。もしこどものためのFAQというものがあるとすれば、それは「なぜ?」です。考えてみてください。ウェッブ上で、熱心な教師たちが長年にわたってせっせと「なぜ」ボタンを用意し、それらがその説明にリンクされているとしたら?

子供たちが「なぜ?」と尋ねることを奨励するのは重要なことです:それは科学的な好奇心にとどまりません。規則について、やたらと浴びせられる所説について、宣伝について、あるいは何か変だと思われるあらゆることについて、彼らは「なぜ?」と問いかける権利を持っているということを学ばなければなりません(なぜ?)。

大人でも同じく「なぜ?」と問いかけることを忘れてはなりません。われわれは、質の高い答えをもたらしてくれるハイパーテキストを作成することで、これを奨励することができます。

理論的根拠の検証を置き去りにしては

私たちが観察することがらについて「なぜ?」という質問に答えようとすることができるのなら、私たちが決定することがらについてはもっと多くのことを答えられるでしょうか? 私たちが物事を構築し、デザインするのですから、私たちはこの過程の産物を、その時の行動の理由にたいする試験的なポインターという形で注釈することができるのです。

フレッド・ブルックス(Fred Brooks)はThe Mythical Man Monthの中で、「第2システム効果(second system effect)」ということを述べています。すなわち、新しいシステムを設計する人は、最初のシステムのあらゆる問題を注意深く排除するけれども、最初のシステムの設計者が注意深く回避したあらゆるミスを犯してしまうものだと言うのです。 仕様と計画がその背景に「なぜ」のツリーを備えていれば、自分たちはもっとうまくできるという性急な感覚に身を任せてしまうことなく、注意深い考えによって変化できる可能性が高くなるでしょう。

「どのように」そして「なぜ」のツリー

ある目的を達するために、人間のあるいは電子的な何らかのシステムを構築するとき、「なぜ私はこれをしているのか?」の反対の問いかけは「私たちはどのようにこれを行うか?」ということです。

我々はあるプログラムを書くために人を一人雇う

これは2つの質問に対する答えを教えてくれます:「我々はなぜ人を雇うのか?」そして「どのようにして我々はプログラムを書き上げるのか?」。 「なぜ」の関係は「どのようにして」の関係の反対にあたります。 「なぜ」のリンクを可能な限りさかのぼれば、ある行動に対する完全な理論的根拠にたどり着くはずです。「どのようにして」のツリーを反対にたどれば、それがどうやって成就されるかの処方箋を手に入れることができるでしょう。「どのように」と「なぜ」のリンクを構築することで、はじめから正当化されたプランを作ることが可能になるのです。