ちょっとしたメモ

ウェブ・オントロジーの問題点と利点

先日来のRelationshipボキャブラリを巡るやりとりを材料に、Bill de hÓraがWeb ontologies: problems, benefitsというエッセイを書いている。isBossOfといった関係をコンピュータで扱うことの問題点を示した上で、一般の手続き型言語とオントロジーを含む宣言型言語の比較を行い、例えばビジネス・ロジックの記述など、今後のウェブ・プログラミングにおけるオントロジー的な考え方の重要性に触れたものだ。

Billがこういった関係を宣言することの問題点としてあげたのは3つのポイント。

  • モーダルである(modal):一階述語論理で記述できない、つまり曖昧さ無く意味を示すことができない
  • 制約がない(unconstrained):無拘束な、自由気ままに使える関係というのは、制約条件のないメソッド呼び出しと同じく、あまり使い物にならない
  • 経時変化する(temporal):ウェブ・オントロジーにはisBossOfのように時間的に変化していく関係を記述する手法がない。時間による変化は、URIでも、RDFでも、あるいはウェブのアーキテクチャでも、敢えて踏み込まないことにしている領域で、ベスト・プラクティスやある種の強制力で対応するしかない。

これらの点は、では従来の手続き型言語ならうまく扱えているのかといえば、そういうわけでもなく、結局世の中には、コードとロジックの分離ができていないプログラムが氾濫している(ウェブの、内容と表現の分離ができていないのと同じ)と彼は見ている。

Ian Davisは、Relationshipボキャブラリに対する批判に答えて、この存在意義は「不十分であろうが不完全であろうが、とにかく何らかの語彙がなければ、そもそも表現することができないわけで、何かをいうための手段としての語彙だ」と述べた。Billに言わせると、こうした関係の宣言の存在意義は「コードの複雑さを減らしつつ、柔軟性を向上させる」というところにある。実際に、ビジネス・ロジックをJavaやC#などで記述しようとしたプログラムと、PrologやHaskellで表現したものを比べてみるといい。オントロジーを、ビジネス・ロジックのミドルウェアとして考えるのは、大いに意味があることだ、と。

少々読みにくいかも知れないが、ウェブ・オントロジーについていろいろ言われている、的外れな否定論も踏まえて、問題点と可能性をコンパクトにまとめている。論点の整理として、参考にできると思う。

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