花火 第4回演奏会プログラムノート

レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア

文:an anonymous member

オットリーノ・レスピーギ(1879−1936)は、イタリアはボローニャ生まれの作曲家で、代表作に交響詩「ローマの噴水・松・祭り」があります。

「リュートのための古風な舞曲とアリア」は、彼がローマのサンタ・チェチーリア音楽院の教授をしている時の作品です。音楽院の図書館で昔の作曲家の作品調べを楽しみとし、その中から気に入ったものを編曲していた彼によって、15〜16世紀頃の弦楽器であるリュートで演奏されていた曲を近代的あるいはむしろ新古典主義風に管弦楽用に編曲されたものです。

レスピーギは、この曲について『原曲のもつ気品と香気を失うことなく原曲の時代と性格に適した和声を配し、管弦楽の衣を着せた』と語っています。

本日演奏するのは、3つある組曲のうちの第三組曲で、四楽章から成ります。これは1931年に作曲され、翌年ミラノの音楽院で彼の指揮の下に初演されました。

第一楽章 イタリアーナ Italiana

16世紀末の作曲者不明の作品によります。いつかどこかで聴いたことのあるような…そんな懐かしい哀愁漂う旋律です。リュートを再現したとみられるチェロのピチカート、曲の終わりを美しく飾るビオラのフラジオレットなどにもご注目ください。このいつどこで聞いたか憶えてなくても一度は聞いたことのあるなんとなく懐かしい…そんな哀愁漂う美しい旋律…

第二楽章 宮廷のアリア Arie di corte

べサール(フランスのリュート奏者)の1603年のリュート音楽集に含まれている曲に基づいています。曲の始めと終わりに奏でられるビオラの美しいアリアの他、さまざまなアリア(ここでもチェロのピチカートが旋律を彩っています)が組み合わされています。リズムの変化が面白く、それぞれの部分に「お前を愛しているのは悲しいことだ」などのタイトルを持っていました。

第三楽章 シチリアーナ Siciliana

シチリア島起源の舞曲で、16世紀末の作曲者不明のリュート曲に基づいています。叙情的で第一バイオリンの旋律が優雅です。この楽章は、単独で演奏されることや、CMに使用されたこともありますので、本日第三組曲全体を初めて聴く方も、シチリアーナの主題だけは耳にされたことがあるのではないでしょうか。

第四楽章 パッサカリア Passacaglia

原曲はイタリアの作曲家ロンカッリのリュート曲で、1692年にスペインで出版されたギター音楽集の中に含まれています。パッサカリアの起源は17世紀ごろ、イタリアやスペインをはじめヨーロッパ中で流行した舞踏曲で、その語源は「街を歩く」という意味です。曲の始まりは重々しく、第一バイオリン→ビオラ→チェロと見せ場をつくります。各パートがかけ合いながら、次第に活気を呈し、これでもかという程の盛り上げと共に緊張と重厚さを帯びながらフィナーレへと向かいます。