W3C Patent Policy Frameworkについて

この文書は、W3Cの2001年8月16日のPatent Policy Frameworkを巡る議論とそれに対するW3Cの回答などを、読者の参考にざっと訳して紹介したものです。この案ではW3C勧告の実装に対して技術の開発者がライセンスを要求できるようにするための手続きも含まれていたことで混乱が生じましたが、基本的には(GIFのように)普及してから誰かが特許を主張して混乱することがないよう、初めから特許について明確にする手続きを導入しようというのがこの提案の趣旨です。

RDFの特許に関するメモを臨時掲載しています(2002-01-06)。

10月11日コメント受付終了後の動き

初めてご覧になる方は、Patent Policy Frameworkからの抜粋のセクションで、先に概要をご覧いただく方が分かりやすいと思います。

Royalty-Free Patent Policy草案

RFを求める圧倒的な声を受け、Patent Policy Working Group Royalty-Free Patent Policyの草案が2002年2月26日に公開されました。RANDによる技術文書作成トラックが撤廃されRFを原則とする一方、W3Cメンバーの情報公開などの義務をより細かく定義しています。ただし、W3Cメンバー以外の有償技術を用いなければならないケースなど、未解決の課題も残されています。

ACミーティングを受けてのアクション項目

諮問委員会(Advisory Committee: AC)の審議の結果、ワーキンググループ(PPWG)に指示されたアクション項目について、Weitznerが11月21日にメーリングリストに報告しています。

PPWGへのアクション項目:

我々のパテント方針の目的については、RFのみのポリシーから、RFが望ましいがRANDも認めるというものまでの範囲で、いろいろな見解が表明されました。全てのW3C勧告はRFライセンスでなければならないとする考えは、強く支持されています。一方で、多くのメンバーからは、RANDライセンスの規定なしでは、W3C勧告の中には完成できないものも出てくるという懸念も表明されています。

このインプットに基づき、PPWGは最初の優先課題として、RFによる勧告のためのプロセス--RFパテント方針を構築すべきです。多くのメンバーがRANDによる手順の放棄に否定的であることをふまえ、PPWGは、ここでの議論への回答および最終草案に寄せられたRANDを支持するコメントを添えて、ACに対してさらなる議論を提起してください。

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注:これは、W3CがRFのみのポリシーを最終的に選択したということではありませんし、RANDライセンスの役割について最終的な結論に至ったということも意味しません。W3Cのパテント方針についての最終決定は、PPWGが新しい提案を作成し、一般からのコメントを受け、W3Cメンバーがディレクターに公式な意見を述べる機会を持ってからになります。

PNGの仕様がアップルの特許に抵触するといった最近の話題を見ても、RFにせよRANDにせよ、きちんとしたプロセスが必要であることは確かではないかと思います。

Weitzner on Slashdot

パテントポリシーWGの議長であるWeitznerが、Slashdotからの質問に答えた記事が、2001年11月2日に掲載されています(Slashdot | W3C's RAND Point Man Responds)。14の詳細な質疑応答がありますが、その中から一つ、典型的なものを紹介しておきます。

Q: 特許ポリシーへのコメントに関する回答で、W3Cはソフトウェアの特許を巡る疑問点については公式な立場を表明しないとしているが、これは好意的に見てもナイーブではないか。インターネットとウェブは、もともとフリーでオープンなコミュニケーションという考えに基づいてデザインされていた。今日、オープンなコミュニケーションをおしまいにして、ウェブ全体を商業ベースの目的のものにしてしまおうとする強い勢力が存在している。もしRANDポリシーがウェブの標準に採用されたら、好むと好まざるとにかかわらず、次はこれらの企業らが可能な限りの独占的な標準を作り出し、(DMCA[デジタルミレニアム著作権法]のようなハンマーを使って)それらをウェブコミュニティ全体に強制しようとするのではないか。

A: W3Cのパテントポリシーの対象とする範囲は何であるべきか、そしてなぜ我々がソフトウェア特許の議論を取り上げないかということについて説明します。

まず第一に、私たちは技術的な標準化団体であって、ロビイストでもなければ、大部分は弁護士でもありません。私たちは標準の策定はうまくこなせると思いますが、法律を変えさせるためのロビー活動は私たちのミッションとは考えていません。ですから私たちは、パテントポリシーを今日のソフトウェア特許の現実に即して考える必要があります。そして、その特許は(米国だけではなく)世界のさまざまな国に様々な形態で存在しているのです。

第二に、私たちは国際組織ですから、仮に米国あるいは他の国の法律を変えさせることができたとしても、どこかの国でソフトウェア特許が存在する限り、それに対応しなければならないのです。

あなたの質問は、ウェブをもっと閉鎖的で独占的な環境にしようとする大きなキャンペーンに、私たちが“ナイーブに”引きずられていると仰っているように思われます。あなたの指摘は、ネットは5年ないし10年前にくらべてずっと広範囲にわたる規制・管理の対象になっているという点では正しいと思いますが、私たちの提案するパテントポリシーがこの傾向をサポートするものだという指摘は正しくありません。反対に、質問3で答えたように(注:この問答の前の、標準と特許に関する問答)8月に提案したポリシーにおいてでも、コアとなる基盤技術はより確実にロイヤリティ・フリーで実装可能とするための長い道のりを歩んでいるのです。私は、全てのウェブソフトウェア(あるいはサーバーやブラウザのようなキーとなるツールだけでも)に法的に必要となるようなウェブ標準は、RFベースで実装できるべきだという考えに同意します。

PPWG 10月F2F会議

10月15-17日に開かれたワーキンググループのオフライン会議のサマリーPPWG Face-to-Face Meeting Summaryが公開されています。主な内容は:

  • W3Cメンバー及び一般からのコメントが多数寄せられたことは、喜ばしい。RANDに強く反対する意見がたくさんあったが、草案の誤解に基づくものも多い。有益な検討材料にすると同時に、特許という複雑な問題に関する啓蒙の重要性を痛感
  • RFのみあるいは原則RFという意見と、RFとRANDの組み合わせにすべきという意見の、それぞれの論点の整理。
  • 草案に対する選択肢として、RFのみを採用するポリシーを考える場合、どんな点を検討する必要があるかという整理(これを読むと、「特許」というものが存在する以上、どうやっても問題は残るということがよくわかる)。
  • ティム・バーナーズ=リー(電話参加)のこの件に関する考え方。RFがウェブの歴史にとっていかに重要であったか、人々がRFを支持する理由、来るAC会議に向けて、世の中に理解しやすい"simpler branding"を。
  • コメントの要約などの手続き
  • 会議での結論:(1)WGは今、しっかりしたポリシーを作成するためのさまざまなツールを揃えることができており、試験運用をふまえた有益なコメントも生かすことができる;(2)最終案は、このポリシーの目的に関するいくつかの基本的選択を行った上で作成しなければならない。検討事項をまとめた上で、ACによるガイダンスを待つ。これらについては、W3Cメンバーや一般からの意見も受け付ける

仮にW3CがRFのみのポリシーを採用しても、個々の仕様勧告の策定に当たって、もし関連技術が特許の制約を受けていれば、(長い回り道を経て)その技術を使わない仕様を考えるか、仕様そのものを諦めるしかありません。W3Cのポリシーがどうなるかも重要ですが、この問題をきちんとフォローしていくと、それ以前に技術の開発と特許の関係をどう考えるのかという根本的な問題があることが分かります(特許や著作権がなくなればいいという単純なものでもないし、一方で誰でも思いつくようなアイデアが“ビジネス特許”になるという馬鹿げた話もあります)。オープンソースの立場であっても、特許が存在するという事実は避けて通れないのです。

Next Steps in 10/12 mail

10月12日に、ワーキンググループ議長のD.J.Weitznerから、メーリングリストにNext steps in W3C Patent Policy processとしてパテントポリシーの今後の方針についてのメッセージが掲載されました。概要は:

  • オープンソースの専門家である、Eben MoglenとBruce Perensがワーキンググループに'invited experts'として参加
  • ポリシーを最終とする前に、もういちど最終草案を公開し、コメントを求める
  • ワーキンググループの公開ホームページの開設
  • 今後の会議やカンファレンスの概要の公開
  • 公開メーリングリストの維持と重要な情報のリストへの発表
  • 公開フォーラムへのワーキンググループ議長の出席
  • 草案の少なくとも3ヶ月に1回以上のアップデート(次回は10月末までに)
  • 2200以上にのぼるコメントの要約と、それに対する回答の準備

というものです。また、ワーキンググループのメンバーであるAppleとHPが、全てのW3C標準はロイヤリティ・フリーとするようにポリシーを改訂すべきだと表明しているようです。

Patent Policy Frameworkからの抜粋

2001年8月16日のPatent Policy Framework草案の中から、基本的理解のためにいくつかの部分を抜粋して簡単に紹介します。

用語について

権利に関する話なので、なかなかややこしい用語があります。重要な定義だけ、以下に抄訳します。詳細はセクション4.を参照してください。

Essential Claims

〔抄訳〕Essential Claimsとは、その有効な出願日(filing date)が最初の公開草案の発行日の一年前から翌日までの期間から1年と1日以内 である特許、もしくは特許アプリケーションで、勧告の実装に際して必然的に(代替案がない)抵触するものに関するすべての権利主張を意味します。

RANDライセンス

RANDとはreasonable and non-discriminatory(合理的で分け隔てのない)を意味します。RANDライセンスとは

  1. W3Cメンバーであるかどうかを問わず、世界の全ての実装者が利用できる
  2. ライセンス保有者とその子組織が所有もしくは管理するすべてのEssential Claimsに適用される
  3. 勧告ならびに勧告が要求するものの実装に限定して適用できる
  4. ライセンス保有者とその子組織が所有もしくは管理するすべてのEssential Claimsに対し、相互RANDの供与を条件とできる。
  5. 合理的で分け隔てのないロイヤリティもしくは使用料の支払いを条件として良い
  6. 技術、知的所有権の利用に対するそれ以上の条件もしくは制約、あるいは被ライセンス者の行動に関する制約を課してはならない。ただし、監査、適用法の選択、紛争の解決手段などについて、合理的で慣習に沿った規約を定めて良い

というものです。

ロイヤリティ・フリー(RF)ライセンス

次の点を除いて、RANDと同じ性質のライセンス。RFライセンスは

  1. ロイヤリティ、使用料などの条件を定めてはならない。ただし、RANDで認められている条件のうち、条項5以外のものは条件として良い。
  2. 被ライセンス者に対し、その被ライセンス者が保持するすべてのEssential Claimsを、誰にもロイヤリティ不要で提供することを要求して良い
  3. ライセンス供与者の示すRFライセンスの規約を受け入れないと表明している実装者に受け入れられているとみなすことはできない

プロセスドキュメントとメンバー合意事項の変更点

パテント・ポリシーを実際に運用するために、仕様作成などの手続きを定めたWorld Wide Web Consortium Process Documentと、W3Cメンバーの義務を定めたFull Member Agreementに変更を加えることが提案されています。セクション3.に記されている、変更についての要約を以下に訳します。

  1. 憲章で特許ライセンスの要件を明確化する:作業部会の憲章は、すでに憲章に含まれる技術要件に加え、特許ライセンスのモードを含めます。作業部会のライセンスモードは、勧告を実装する場合に求められるライセンス条件(RAND or RF)を表明します。このライセンスモードは、技術要件と同じく、当該仕様がW3C標準化プロセスで先のステップに進む際の判断の基準となります。

  2. 情報開示の義務:すべてのW3Cメンバーは、勧告の実装に不可欠と考えられる特許権を公開する義務を負います。作業部会の活動の基礎となる技術提案(Contribution)を行ったメンバーは、その提案時に、関連技術の情報とライセンス条件を開示する義務を負います。さらに、すべてのW3Cメンバーは、勧告を実装するために不可欠と考えられる既存の公開(laid-open or published)特許アプリケーションについて情報開示する義務を負います。

  3. RANDライセンス条項へのコミットメント:すべてのW3Cメンバーは、W3C勧告の実装に必要な特許に関する権利を、RAND条項によりライセンスすることが法的に求められます。特定の技術をRAND条項に基づいてライセンスしないというメンバーは、通常、最終草案の公開から60日以内に、その特許権について除外告知(opt-out)をしなければなりません。さらに、作業部会の仕様に正式な提案(Contribution)を行ったメンバーは、提案時に明確に除外告知をしない限り、必要な特許権を作業部会の憲章のライセンスモードにしたがってライセンス供与することに同意するものとします。

プロセスドキュメントの中で技術文書(仕様)の審議ステップなどについて定めた内容は、当サイトでもW3C勧告プロセスの概要として簡単に紹介しています。

特許ポリシーへのコメントに関する回答

以下は、2001年10月2日のResponse to Public Comments on the W3C Patent Policy Frameworkから、回答部分をひととおり訳したものです。

1. 提案されているポリシーの目的は何なのか

W3CのPatent Policy作業部会は、多岐にわたる様々な意見を体現しています。この中には、W3C勧告は全てロイヤリティ・フリー(RF)であるべきだとするものもあれば、RANDのフィーをW3C勧告に対して支払うことは合理的だし、むしろ生産的であるという意見もあります。

W3Cは、RFであることはウェブの発展に本質的に重要であり、オープンソースの開発者コミュニティの貢献がその成功に不可欠であったことを理解しています。W3Cはまた、ソフトウェアには特許が存在し(ウェブが発展するにつれて特許問題は前面に出てきます)、その事実を無視することはかえって害をもたらすということも理解しています。W3Cは、明らかな緊張関係がある分野でコンセンサスを得るたまに、また異なる利害の間でバランスをとるために、努力しています。

この提案が明確にしようとしている目的をいくつか挙げます:

  1. ウェブ・コミュニティが、“潜水艦”特許によって驚愕させられることがないようにする。このような特許があると、障害になるものはないと考えてつくった勧告ができたあとで、予期せぬ特許料の支払いを強要されることになってしまいます。
  2. 将来の作業が、恐れ、不確実、疑いなどで妨げられないようにする。提案中のポリシーは、情報を開示することでより適切な判断ができるようにと考えてつくられています。ここで期待されているのは、こうした情報によって、ワーキンググループは作業をそのまま進めるか、予知できる特許の障害に回避策を講じるか、あるいはその障害があまりに重大ならば作業を中止するかを判断できるようになるということです。

2. この提案はW3Cのライセンス方針の変更を意味するものか

この2日間で、多くの人から、特許方針提案はW3Cの勧告に関する現在のライセンス方針を変更するものではないかという懸念が表明されました。[実際のところは]W3Cはこれまでに勧告の実装に関するライセンス方針を言明したことはないので、これは全く新しい方針の提案です。

多くの人がW3Cは全ての勧告についてロイヤリティ・フリー(RF)ライセンスを認めているものと想定していますが、実はそうではありません。実際、W3C自身が、W3Cの草案(P3P仕様)を実装するにあたって、P3Pを開発するワーキンググループのメンバーから特許侵害について提訴される可能性に直面しました。その結果、P3Pの開発は一時中断に追い込まれます。W3Cは開発者コミュニティに、prior art(その特許が公開される前に知られていた同様の技術)の提供を求め、特許を分析しました。その結果、特許の侵害はないものとの結論に達したのです。同様の状況において、特許を巡る恐れ、不確実さ、疑いによってW3Cの作業が混乱したり遅れたりするといった事態に対応するためには、W3Cはソフトウェアの特許が存在しないようにふるまうことは無責任であると感じるようになりました(ただし6番目のポイントも参照)

提案中のポリシーで何が変わるのか? これは、ワーキンググループが開発中の仕様が特許技術に抵触しないかどうか、情報開示を求めるための手続きを定めます。この提案ポリシーによっても、実装が特許に抵触するという主張をどこか外部から受けるリスクはなくなりません。しかし、情報を得ることによって、ワーキンググループがこのリスクに気付き、それを受け入れるかあるいは回避するかという選択が可能になるチャンスが高まります。

〔参考〕

3. これはW3C勧告がロイヤリティ不要ではなくなるということか

いいえ。この方針は作業部会が選択できる2つのライセンス・モードを定義します:ロイヤリティ・フリー(RF)とRANDです。作業部会はそもそもRFを選択するのか? 方針では「ウェブの核となる基盤技術に関して、相互運用性とグローバルなコンセンサスを保持することは不可欠である。従って、低レベルの基盤技術にかかわる勧告がロイヤリティ・フリーで実装できることはとりわけ重要である」と言明しています。提案方針によれば、作業部会がRFではない仕様を策定しようというときは、その憲章においてRANDを選択する合理的な理由を明示することが求められます。

この方針は、ライセンスに関する前提を明確に、また強制力を持つものにすることで、現在のW3Cのプロセスをより改善します。提案されているRFライセンス体系の相互交換規定により、全ての実装者が、別の実装者のRFライセンスから利益を受けることができるようになります。

4. RANDライセンスはW3Cのような組織で一般的なのか

はい、そうです。RANDは標準化組織で一般的に採用されています。

たとえば、IETFのインターネット標準化プロセス(第3版)として、RFC 2026の10.3.2は次のように定めています。

(C) Where the IESG knows of rights, or claimed rights under (A), the IETF Executive Director shall attempt to obtain from the claimant of such rights, a written assurance that upon approval by the IESG of the relevant Internet standards track specification(s), any party will be able to obtain the right to implement, use and distribute the technology or works when implementing, using or distributing technology based upon the specific specification(s) under openly specified, reasonable, non-discriminatory terms. The Working Group proposing the use of the technology with respect to which the proprietary rights are claimed may assist the IETF Executive Director in this effort.

ETSI (the European Telecommunications Standards Institute)の知的所有権についての情報は、ETSI directiveを参照。ANSI特許方針ガイドラインもRANDを採用しています。

5. なぜこの提案方針はもっと大々的に発表されなかったのか

レビューしてくれた方の中には、この文書は発表されていたのか、意図的に発表しなかったのかという疑問を呈する方がいましたが、

  • この文書は6週間前に公開され、W3Cは一般のコメントを求めました
  • W3Cはホームページで発表するとともに、ニュースの配信サービスにも流しました

加えて、このポリシーの公開と同時に、W3Cは次の補助的文書も公開しています

これらの追加文書は、開発者と一般利用者の両方を念頭に置いて書かれています。延長されたコメント期間に、これらが活用されることを願います。

W3Cは、ポリシーの草案の初期段階でコメントできなかったことに対する不満が開発者から表明されていることを承知しています。問題の複雑さのために、パテント・ポリシー作業部会自身、ラフコンセンサスを反映しているだけと感じている草案の作成プロセスも、予想以上に時間がかかってしまいました。パテント・ポリシー作業部会は、方針を最終的なものとするまでにひろくコメントを受け、それに答えていく考えです。

6. W3Cはソフトウェア特許を支持するのか

W3Cは、ソフトウェア特許に関する一般的な問題については特別な姿勢は表明しません。このポリシー草案は、次の問題にたいして答えようとする試みです:特許というものが存在し、それが標準規格に準拠することの制約として使われうるという世界において、W3Cがその使命を達成するためにとるべき最良のプロセスとはどんなものか。たとえ特許の保有者が、特許がW3C勧告に適用されるのでライセンスを供与すると主張するとしても、このことはW3C(あるいはほかの誰でも)がその主張が有効であるという見解を共有したり、実装がそれに抵触するということを意味するわけではありません。

7. 次はどうなる?

次のステップは、World Wide Web Consortium Process Documentに定められています。具体的には、以下のような手順となります:

  • コメント用メーリングリストはそのまま公開されます。一般的なコメントを歓迎します;Patent Policy Framework草案の具体的な部分についてのコメントは特に有益です。参考文献としてポイント5に挙げたものも利用してください。
  • パテント・ポリシー作業部会は、多数のコメントを処理するために時間が必要です。Process Documentの4.1.2に従い、作業部会は全ての重要なコメントに対して解決策を示すか、保留する旨を文書化します。
  • レビューコメントの処理をおえたら、作業部会は新たな草案を作成し、W3Cホームページで発表します(ここには全てのW3C文書が発表されます)。この文書を公開することで、最終的な文書が採用される前にみなさんにレビューしていただく機会を提供します。

SVG 1.0特許文書について

SVG 1.0の勧告に至る過程で、作業部会のメンバーが開示した特許情報がSVG 1.0 Patent Statementsとして公開されています。ここでKodak, Apple, IBM, Quarkが関連特許についてRANDライセンスを申告しているため、これをもって4社を非難するという短絡的な発言も見受けられますが、ここではどの会社も「SVG1.0を使うにあたってライセンス料を払うべし」ということは主張していません。

参考までに、要約部分を以下に訳出します。不明な点は原典にあたって確認してください。

要約(の翻訳)

  • SVG作業部会の大多数のメンバーは、SVG 1.0についてロイヤリティ・フリーライセンスを提供します。
  • SVG 1.0についてRANDライセンスを示しているのは4つの組織です。それぞれは次のようなものです:
    • Kodakは、保有する知的所有権に関してRFライセンスを供与することはできないが、SVG 1.0仕様に関してessential claimはないと考えている、と公式に表明しています。さらに、同社はSVG 1.0仕様を完全に実装するためのオープン・ソースの活動に参加しています。
    • Appleは、SVG 1.0仕様制定過程の極めて初期の段階で、作業部会に対して同社のライセンス声明にリストアップされている特許について情報を提供しました。SVG作業部会は、仕様の策定にあたって、実装者がこの特許に抵触しなくてすむように協調して工夫しました。
    • 他の2つのRANDライセンスは、IBMとQuarkのものですが、両社は知的所有権に関する要求が2001年5月に発行されてから、特許の告知は行っていません

Disclaimer

このページは、読者の参考のためにW3Cの文書を抜粋、抄訳しています。ここに示されているW3Cの考えを、作者が支持する/しないの表明を目的とはしていません。内容については、それぞれ読者が判断してください。

急いで訳したので、訳語に不統一や不備が存在する可能性があります。不明な点はそれぞれの原典で確認してください。