EthernetとAppleShare

マッキントッシュではケーブルキットを用意するだけですぐにネットワークを構築できます。この手軽さは捨てがたい魅力がありますが、ある程度規模が大きいネットワークになると、やはりLocalTalkとファイル共有だけでは役不足になるのは否めません。本格的なオフィスネットワークのためには、Ethernetによる高速なネットワークと、AppleShareを使ったファイルサービスを導入したいところ。アップルからはつい最近、Workgroup Serverというオフィスネットワークのための専用機も発売されました。少し奮発して、快適な環境を整えましょう。

LocalTalkとEthernet

前回は手軽に構築できるLocalTalkのネットワークを検討しました。これはプリンタ接続などと同じローカルトークケーブルを使ってマッキントッシュをつないでいくものですが、簡単ですぐに始められるという長所がある一方、性能面ではやはり限界があります。まず、230Kbpsというデータ伝送速度。倍速のCD-ROMなどよりもかなり遅いスピードで、常時ファイルをやりとりするにはストレスがたまるでしょう。また、機械を数珠つなぎに一列に接続していく方式なので、台数が増えてくると配置にいろいろな制約を受けますし、パフォーマンスも低下します。

ある程度大きなネットワークを構築するなら、やはりEthernetの利用を考えたくなるでしょう。こちらは、標準のもので10Mbpsの伝送速度を持っています。単純にLocalTalkの40倍のスピードが出るというわけではないのですが、それでも圧倒的に高速なデータのやりとりが可能です。

Ethernetには規格がいくつかありますが、部内のネットワークなら10Base-Tという、電話線のような細いケーブル(ツイストペア・ケーブル)を使うものが一般的です。この規格の場合には、接続する機械の配置もLocalTalkとは異なります。スター型配線といって、中心にハブ(HUB)と呼ばれる一種の集配器のような機械(写真1)を設置し、各コンピュータはその機械と直接結ばれるのです。配置が自由になる上に、ネットワークの一部が障害を起こしても、他の機械が影響を受けないというメリットもあります。

Ethernetによる接続

Ethernetによるネットワークを作るには、マッキントッシュにもEthernet用のポートを用意しなければなりません。最近のPowerMacは標準でこのポートを備えるものが普通になってきましたが、Performaなどは、そのための拡張ボードを追加する必要があります。

ケーブルをハブやマック本体に接続するには、RJ-45という、これも電話線の端子のようなコネクタを使います(写真2)。ケーブルとコネクタを買ってきて自分たちで配線することも可能ですが、こういうところは専門の業者さんにお願いした方が無難でしょう。総務部に依頼して、レイアウト変更などの時に内線電話の工事と合わせて設置できれば一番スムーズだと思います。

接続が完了したら、「ネットワーク」コントロールパネルを開き、AppleTalkの接続方法をEtherTalkに切り替えます。これらがみあたらない場合は、システムディスクから「Ethertalk用ソフトウェア」をインストールしてください。

AppleShareによる本格サーバー

前回紹介したSyetem7標準の「ファイル共有」機能は手軽で便利ですが、共有できるフォルダが10個まで、また同時にアクセスできるユーザーが10人以内という制約があります。またサーバーのCPUパワーの割り当てを変更して、共有機能の能力を調節することがません。したがって、この機能で構築できるネットワークはせいぜい5〜6人程度のものと考えた方がよいでしょう。

これ以上の規模の場合は、専用のサーバーソフトを導入することになります。アップルからはAppleShareという名称でサーバーソフトが発売されています。以前は単体でも購入できましたが、最近発表された最新版は、Workgroup Serverというサーバー用の機種と合わせて購入するようになっているようです。これまでファイル共有で使っていたマッキントッシュにAppleShareをインストールしてそのまま働かせるということが難しくなりますが、Workgroup Serverはサーバー用に最適化されたマシンで価格もそれほど高くないので、新たにネットワークを構築するにはちょうど良い選択でしょう。

AppleShareのインストールと設定

最新版のAppleShareは発表されたばかりで手元にないので、ここではバージョン4.0の英語版を使って説明します。微妙な違いはあるかも知れませんが、基本的な操作方法は同じはずです。

まず必要なソフトをインストールすると、AppleShare AdminとAppleShare File Serverという項目がアップルメニューに加わります。FileServerは実際のファイルサーバープログラム、Adminはそのための様々な設定を行うプログラムです。

もし、これまで「ファイル共有」機能で別のマッキントッシュをサーバーにしていたなら、その「初期設定」フォルダから、Users & Groups Data Fileを新しいサーバーの「初期設定」フォルダにコピーしておいてください。こうすることでこれまでの「利用者&グループ」の情報をそのまま引き継ぐことができます。(図1)。

さて、それではAppleShare Adminを起動しましょう。シリアルナンバー入力などの儀式を経て、サーバー名と管理者用のパスワードの設定画面が表示されます(図2)。サーバー名は利用者のセレクタに現れる名前です。将来、他部署と接続する可能性を考えると、どのセクションのサーバであるかわかるような名前がよいでしょう。

これらの手続きを終えると、Adminプログラムは図3のような基本ウインドウを表示します。左側が「利用者&グループ」から引き継いだ情報、右側がサーバーの管理者に関する情報です。「ファイル共有」の情報を引き継いだ場合は、以前の「所有者」の名前がそのまま表示されますが、管理者らしい名前に変更した方が明快でしょう。ウインドウに並んでいる色々なチェックボックスは、変更する必要はありません。

新たな利用者やグループの登録は図4〜6のようにメニューからウインドウを開いて行います。やはり今の段階では、名前とパスワード以外の部分はそのままにしておいてください。

アクセス権を設定する

利用者のアクセス権はAppleShare Adminの「Privileges」メニューから「Access Information...」を選び、図7のようなウインドウを開いて設定します。公開するフォルダをリストから選択して、「Share」(日本語版では共有)ボタンをクリックしてください。共有したフォルダはウインドウの右上にリストアップされ、利用者がマウントできるボリュームとなります。目的ごとにフォルダを分け、別々のボリュームとして公開すると管理しやすいでしょう。個々のフォルダの所有者/グループは、図8のように項目をドラッグして設定します。

アクセス権の考え方は「ファイル共有」と全く同じ。AppleShareにしかない便利な機能が、「Can't Move, Rename, Delete」です。これをチェックしておけば、重要なフォルダが行方不明になるといったトラブルを未然に防ぐことができます。

以上の設定を確認して「Save」をクリックすると、図9のようなダイアログが表示されます。わかりにくいダイアログですが、「Explicit」(維持)を選ぶと、フォルダをどこに移動しても今回設定したアクセス権をそのまま維持する、「Inherit」(継承)を選ぶと、移動した先の親フォルダの設定に合わせて変更する(親を継承する)ということになります。

ファイルサーバーを運用する

設定ができたら、AppleShare Adminを終えてAppleShare File Serverを起動します。図10のような準備のあと図11の画面が表示されれば、AppleShareの運用開始です。このほかにもサーバーのパフォーマンスを調整したり、利用状況を管理したりする様々なツールが用意されていますが、これらは徐々に研究していけばよいと思います。

どうでしょう。意外に簡単だと思いませんか? 他のマシンなら非常に複雑なことでも無理なく実現できるのは、マッキントッシュの大きな長所ですね。

しかし逆にそのために、バックアップなどの管理がおろそかになる傾向もあります。ファイルサーバーに情報を集中させるということは、危険も集中するということ。バックアップは必ず準備してください。サーバーは普通24時間働いていますから、定時起動機能を持つソフトを使って、毎晩深夜に更新バックアップを行わせるとよいでしょう。大切な共有資産の安全管理を、くれぐれもお忘れなく。

(MacFan 1996-12-15号)