花火 第3回演奏会プログラムノート

ブリテン:シンプルシンフォニー

文:仲野正哲(Va)

ベンジャミン・ブリテン(1913-76)はイギリスを代表する作曲家であり、今回演奏するこのシンプル・シンフォニーという曲は、彼が弱冠20歳で書き上げた曲です。この曲のメロディーのもとは、彼が9歳〜12歳の間に作曲されたピアノ曲及び歌にあり、それらを弦楽合奏曲という形で再度まとめたものとなっています。

以下の4楽章から構成されていますが、どの楽章も非常にシンプルであり、かつ楽しい・美しい旋律で満ちております。筆者もこの曲を今回演奏するのが4回目になりますが、今回は前回演奏した時にもまして、この曲の純粋さ・楽しさ・美しさを表現できればと思います。

第一楽章:Boisterous Bourree「騒がしいブーレ」
細かい粒のような旋律と、ちょっとゆったりとした旋律が交互にあらわれる、にぎやかな楽章です。
第二楽章:Playful Pizzicato「おどけたピッツカート」
ピッツカートとは、弦を指ではじくことであり、この楽章の名前のとおり、すべての楽器が弓を置いて、弦を指ではじいて演奏します。8分の6拍子ですが、6つの音をいかに正確にお客様に聞かせられるようにはじけるかが、演奏する側にもとめられます。
第三楽章:Sentimental Saraband「感傷的なサラバンド」
その名のとおり、一番メランコリック・感傷的な楽章です。特に曲中で現われる2番目の主題(旋律)は、とても美しくはかない気持ちを抱かせます。
第四楽章:Frolicsome Finale 「陽気な終曲」
ちょっと不安げな調子で始まりますが、さまざまな調を走り回ったあとで、二長調で終わります。