読者にとってのストラクチャ

常にあなたが語りかける読者のことを意識して下さい。もし彼らがそのテーマについて初心者なら、作品のストラクチャ(構造)をかっちりとしたものにすることが一般的には役立ちます。そうすれば読者はその知識自体のストラクチャについても学ぶことができるからです。例えば、もしこのテーマは3つの明確な分野に分かれるとあなたが感じているなら、それを教えてあげることは重要です。

一方、もし読者がテーマについて何らかの知識があるならば、彼らはすでにそれについて自分なりの体系を持っていることでしょう。この場合は彼らは、意識するとしないとに関わらず、どこをさがせば何が見つかるかということを知っています。もしあなたのストラクチャが彼らのものと違っていたら、それを強調しすぎることは混乱を招き、読者を遠ざけてしまうでしょう。

この場合は、自分のストラクチャを強硬に認めさせてまわり全体を困らせてしまうことがないよう、ぐっとこらえるべきかも知れません。解決策は2通りあります。

もし、単一のはっきりしたユーザー像が念頭にあり、彼らはひとつの世界観を共有しているというのなら、あなたの考え方ではなくその世界観にぴったり合わせて書くように努力すべきです。

もし、同時に複数のグループを対象に書くのであれば、両方を用意しなければなりません。

参照を用意するときは、不要ならそれをとばして読むことができるように、きちんとその役割を示してあげましょう。たとえば「もし内部でどんな働きがあるかを知りたい場合は、内部についてのガイドを参照」とか「ステップ・バイ・ステップの導入はチュートリアルに用意されています」といった具合です。

両方の読者の視点からリンクを用意して下さい。あなたの作品は単純なツリーというよりもあちこちでつながったものになるでしょうが、きちんとした役割表示があれば、迷子になることはないはずです。

2つの独立したツリーの「出発点」を用意して下さい。例えばあるデータについて、ステップ・バイ・ステップのチュートリアルと、機能的に直接参照できるツリーとを書くことができます。どちらも一番底辺のレベルでは同じデータを持っているのですが、前者は簡単なことを最初に取り上げるのに対し、後者は機能別のグループにまとめられるかも知れません。これはちょうど、一つの書物に何通りもの索引を用意するのと同じことです。チュートリアルは、レファレンスにはない情報を含んでいてもよいでしょう。