金聖響+OEKのベートーベン第2弾が登場した。エロイカとコリオラン序曲の組み合わせで、2003年5月9日の定期演奏会のライブ(と7、8日のセッション)。

2/7番の録音よりも一層ピリオド・アプローチが板に付き、客席に人が入っている(=必要以上の残響が吸収される)ライブであることも手伝って、低音も含めシャープな仕上がりだ。バロック・ティンパニも引き締まった音で要所を決めている。一つひとつの音符を吟味した結果が、いろいろなニュアンスの弾き分けに生かされているのも前作と同じ。さらに、2/7番に比べて対位法的な要素が多いエロイカの場合、内声を十分に鳴らしている効果がよりはっきり出ており、こんなにフーガの各声部がくっきりと浮かび上がるエロイカはあまりお目にかかったことがない。

テンポは比較的ゆったりとしており、最近の録音にしては珍しく50分を超えている。ほぼ同じ録音時間のラトル盤と比べてみると、1、2楽章がやや遅めで後半はテンポアップするという組み立てになっており、特に第2楽章に重心を置いているような印象がある。このフーガの聴き応えはなかなかのものだ。3楽章はいい感じの乗りで攻めていき、フィナーレも納得のいく構成でよく磨き込まれている。

ちょっと気になるのは第1楽章、特にコーダだ。クライマックスで途中からトランペットが旋律線から脱落する問題の箇所(655小節から)で、フレーズ全体にわたってこの楽器が存在しないかのように音を絞ってしまっている。ここはいろいろなアプローチがあり得るところで、当然彼なりに熟考したうえでの結論だろうが、この処理の結果、楽章の頂点がぽっかり欠落する感じとなり、そのあとのff で帳尻を合わせようにも急に音量を上げるわけにも行かず、バランスが中途半端なまま楽章を終えることになったのは残念。楽章全体を通じて金管が控えめな感じなのは、このコーダを基準にレベルを調整したためなのかと思いたくなるほどだ。後半の楽章ではまずまず鳴っているので、ライブならではの力配分なのかも知れないのだが。

指揮者のうなり声が録音されているのも、多少はご愛敬だが、2楽章のように不協和音を生んでしまうようなのが続くのは編集でもう少し何とかできないものか。フィナーレの409小節目で低弦奏者が一人半音間違えているのも、別テイクを収録しているのだから調整して欲しいよ。

コリオラン序曲は、こちらのほうがリラックスできたのか、溌剌としている。多少荒っぽいところもあるが、ティンパニや金管が存分に力を発揮していて気持ちよい。

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