ノリントンの第九がレコード・アカデミーの大賞銅賞/交響曲部門賞とは、ちょっとした驚き。LCPとのベートーベン2/8番がグラモフォン賞を1987年に受賞してから16年目、ようやく日本の音楽業界もそのレベルになったというか。まぁ、来日したこととか、日本のレコード会社が以前のレーベルと違ってまともに営業をしたとか、そういう環境の変化によるところもあるだろうけれど、とりあえずはご同慶の至りだ。

選者の評が一様に「演奏新時代」とか「作品に新しい魂」とか言っているのは泣かせるなぁ。むしろ語るべきは、「レコード評新時代」とか「選評に新しい魂」ってことじゃないのかな。今年はオペラ部門がミンコフスキーのヘンデル「ジュリアス・シーザー」、管弦楽曲部門がアーノンクールのスメタナ「我が祖国」といった具合だし、交響曲部門の選考でもラトルのベートーベンとかインマゼールのモーツァルトが最終候補に残ったということで、先生たちもHIPを無視できない時代になったことは確か。

受賞に際してノリントンからメッセージが寄せられているので、『レコード芸術』2004年1月号から引用しておこう:

私たちの作品に賞を下さったこと、さらには私たちの音楽作りが到達することのできたクオリティ(質)を認識して下さったことに感謝いたします。ここ20年間、私は現代楽器と共に大変多くのことを体験しましたが、ここシュトゥットガルトにおいての経験ほど深く、密度の濃いものはありませんでした。この4年の間にシュトゥットガルト放送交響楽団と私は、互いに大きなリスクも恐れず、質問を投げかけあい、一緒に熱く音楽作りに取り組んできました。そしてその結果、“シュトゥットガルト・サウンド”と呼ばれる、今までになかった新しい音を生み出すことに成功したのです。どんなオーケストラでも、自らが望めば私たちと同じようなことができるのだと、私は今では確信しています。

みなさん、どうぞ、どんどんやってくださいな。ちなみに、ノリントン+シュトゥットガルト放送響のベートーベン全集は、「カンヌ・クラシック音楽賞」と「グラミー賞最優秀オーケストラ演奏」にもノミネートされている。

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