Planet masaka played list 2016-09


  1. * Two Other Movementsとは、新作は常に前作のコメンタリーでありこれも継続という意味だそうだ。ごった煮でけっこうロマンチックな要素も多く、2005年作にしては今さら感が。アルミンク指揮の併録「影の小品」はデンマークの画家キルケビーの手法に対応付けた85年作品。こちらの方が腑に落ちる部分は多い。 SWR19001CD
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  2. * 魚がゆっくり泳ぐ、というよりもう少し虫っぽいというか、うねうね続く運動。その間に周囲の光景を眺めるような断章。悠治による併録ファエンツァは大きく跳躍しながら進む中にやはりあの運動が。5つの断片はそれぞれ独自の響きを求めるが、No.2のつっかえながら飛び跳ねる歩みがひとり異なる世界。ALM ALCD-75
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  3. * 世がたりに(藤壺)は笙、わかれても(紫)はFl、なほざりに(明石)は箏を中心とする器楽、これが独特のポルタメント歌唱による和歌の朗詠を、器-5-器-7-5-器-7-器-7-器と挟む。一首歌うのに20分前後。併録の二星は野平一郎のPfで。声のとてつもない表現力。セリーをずっと超えて異次元の世界。ALM ALCD-39
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  4. * 短い6つの楽章から成るOp.1は静と動が交錯しいろんな技法、ウェーベルン風といえばいいのか? 併録はみなSQのための作品。ミクロリュードとは幻影のようなものか。小オフィチウムは俳句から着想を得たというが、これを含め静寂の呼吸に動が句読点を打つ感じ。6つの楽興になるとまた動き志向の楽章も。そんな単純化は無理だとはいえ。演奏秀逸。ATMA ACD22705
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  5. * 静かな水面でゆらゆら揺れる葉っぱに風が吹いたり雨粒がはらりと落ちたり魚がつついたり小さな波紋ができたり。最小限の音構成による微細な表現ながら、途切れない運動。ゆっくり流れていくうちに景色は意外に大きく変わっていて。76分の心地よいモノローグ。ALM ALCD-88
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  6. * 7音上昇の反復とか装飾音型を縦に分節する密和音とか、シャリーノの弟子らしい要素が多く聴こえるが、どこかに向かっているような気がするのは道だからか。10年前のOp.9は叫び声や足音を入れたりして実験的で重苦しい。「青の彼方へ」は交差音から複雑化していく中心を鍵盤の両端のフィギュールが挟みやがて上昇音、静まって別のアプローチを。 ALM ALCD-63-64
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  7. * 夜のガスパールを解体し煮詰めて抽出されるのが、短いうねうね、キラキラした高速波動(疑似アルペジオ)、二重トリルという装飾要素? 第1番はこれらが滑らかに矢継ぎ早に展開、第2番は両側が無の空間を縦線で区切りながら配置、第3番は波動の振幅が大きく高速の超絶技巧、第4番は縦線トーンクラスタが定常拍を刻む。これらが夜想曲へと。Dynamic CDS082
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  8. * 1998~2001年の夜想曲群は、断片的な蠢きが、ときに間を置きながら反復されたり、無造作に呟いたりする。無慈悲な夜想曲では鞭打つような高音がCrudeliなのかな。1971の「夜に」は全く違って、併録のラヴェル「夜のガスパール」そっくりというかパロディなのかオマージュなのかよく分からん。Stradivarius STR33835
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  9. * パッヘルベルのカノンの主題を2拍引き伸ばしたバス上に弦楽四重奏と声楽が繰り広げる不思議な音空間。SQ10番「ニュー・グラウンド」の延長線。SQ11番「ノー・グラウンド」と歌入り「グリーン」「ノー・グラウンド・グリーン」も同様の関係で、こちらはより物質的。Dacapo 8.226153
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  10. * ジャズ・ピアニストにして映画音楽も手がけるそうだ。楽章にA、B、C..とあるので26楽章かと思ったらJKWXYがない21楽章。楽章といっても1分未満でむしろ変奏曲という感じ。ほかに7つのエピファニー、ピアノ・フェリクス、音楽の花束、森の木々。インプロビゼーションの感覚なのかな。ややこしいこと言わず寛いでよと。最後の曲はジャジー。 STR33957
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  11. * 愛称Miと呼ばれた最初の夫人のための歌で、天使の合唱や善悪の戦いから地上の美しさまでの9曲、古典ギリシャの韻律で詩を書いているそうだ。じっくり表現されていて質感がある。メシアンには珍しく標題のない主題と変奏、幼な子イエスの抜粋、Flととのクロウタドリ、そして6つの鳥の小スケッチも。Champs Hill CHRCD022
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  12. * 一連の《ピアノのための音楽》のうち、複数ピアノもしくはアンサンブル可とされている曲から選んでシンセサイザーと共演したもの。断片的に鳴るピアノの余韻というか響きを電子音が拡張してみせるという感じで、なかなかうまい具合にミックスされて、ケージの世界が増幅される。Stradivarius STR33927
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  13. * それぞれペル・アコルダール、ペンタゴーロ、タールと名前がつけられ、不協和音と特殊奏法を多用したつくり。倍音成分を解析して素材とするスペクトル楽派に属するんだそうだ。よく分かんないけど。技巧的な部分と響き重視の部分がわりとはっきりしていて聴きやすいかも。Vn独奏「夜の旅行者」Vn+Va「エレクトラ・グリーデ」併録。 STR33702
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  14. * かれこれ7時間ほど聴いて(流して)いるが、まだ3割ほど。トータルが23時間51分39秒。11音を使う崩れた聖歌のようなバス主題と、もちろん調性なんかない2つの和声づけが延々と反復されるのは、聴く方は適当に他のことしてればいいけど奏者は大変。フェーンはたまに音量を変えたりするものの淡々と取り組んでシュールな凄み。Brilliant BC95364
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  15. * 2CELLOSかと思うような荒っぽいリズムと湖面のような静謐さが共存する、不思議な磁力を持つ曲。抽象的で純粋な表現としての日記のようなものだそうだ。マトモスによる電子音楽とのリミックスがそれぞれの末尾に置かれて、曲の一部であるかのような扱い。New Amsterdam NWAM030
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  16. * この難曲を、暗譜で弾くのだそうだ。作曲家が採取した民謡はそもそも楽譜がないわけで、スコアを覚えるのはちょうど逆のプロセスであり、超絶技巧がとても自然な表現と思えるようになっていったという。激しい現代音楽ではなく、親密なバルトーク。たしかにそんな響きの演奏だ。 Azica71310
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  17. * 現代音楽祭を主催していた頃の、実験的な作品群として「金管六重奏のためのエッセイ」、立原道造の詩と不確定性の「夜に詠める歌」も。音楽の捧げもの+電子音響という趣の「トリムルティ」は骸骨時代だけれどやはり実験精神というか。小泉文夫との対談あり。Naxos NYNG-005
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  18. * ルトスワフスキとほぼ同世代のポーランドの作曲家。30年近くにわたって書かれた7つのSQを一言では表現できないけれど、あえて言えば(初期は)シマノフスキの香りが少しというところだろうか。後期は自由自在、平行グリッサンドに導かれる不協和音は面白い味わい。Vn奏者だけあって弦楽器の可能性を存分に引き出している。 CHAN10904
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  19. * もとは劇中歌(佐藤信・詞)だそうで、たとえば6月「ものがたり」は「終わりの日に/俺たちは始める/始まりの日に/俺たちは終る」という具合。林光らしい、素朴で暖かく味わい深い曲集。併録の徳利小(とっくいぐぁ)は沖縄民謡による変奏曲でより劇的。島こども歌2も沖縄なのかな。あったーわんくゎとぅ(あんたの仔ぶたちゃんと)とか。ALM ALCD-7003
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  20. * アコーディオン+弦楽四重奏という組合せで、いろんな色彩の光がぎゅっと引っ張られて飛んで来るような。雅楽のような時の流れ。8楽器の杣径(そまみち)も、12楽器の表面・奥行き・色彩も、多少動きの違いはあれそこはみな共通している。Vn+Pfの冬青(そよご)、ギターのカラミンサなど、2000~2008年の作品集。ALM ALCD-93
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  21. * 作曲者は「さまざまな音の運動の様態、ひびきの形や表情を、ピアノから取り出すエチュード」と述べている。Ⅷ.北欧のサーミ族のうたヨーイクだとか、Ⅸ.アフリカ!足の裏のリズムだとかは楽譜には書いてあるのかな。併録「風のしるし」は左手のための作品。ALM ALCD-78
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  22. * 6声のほうは短調ばかりだが、こちらにはいくつか長調もある。その分、精緻で複雑な音楽に前進力のようなものも加わっている感じ。演奏も素晴らしい。全曲は初録音だそうだ。Linn Records BKD557
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