Planet masaka played list 2017-04


  1. * 16世紀のプラハでユダヤ教徒がキリスト教徒の迫害を受け、動く泥人形を生み出して反撃するというような話らしい。3時間に渡る、かなり厳しい音楽。多様な表現が盛り込まれた力作だが、聴く方もエネルギーが必要。ABC Classics 00028948143276
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  2. * ほとんどがハーモニクスやスル・ポンティチェロの倍音による響きで、Vaながら渋い低音とはまったく逆の発想。あちこちから何かが飛んで来るようなスリリングな空間。併録は夜の果て、Vn独奏曲が6つのカプリッチョ、カプリッチョ・ディ・ウナ・コルダ、フラ・セ、マッティアのために。どれも無重力を浮遊するような格別の面白さ。Stradivarius STR37057
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  3. * Vc+バヤン(ロシア式アコーディオン)+弦楽合奏という編成で、シュールでもあり厳粛でもあり、祈り、呻き、激白、嵐とでもいう表現が雄弁に展開される。併録ルバイヤートは古いペルシャ詩(のロシア語訳)によるバリトン独唱。劇的な、時に厳しい音楽。生と死はシンセサイザーを用いて表現の幅を広げている。Melodiya MELCD1000109
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  4. * 弦管各1+打+Pf+Hpという編成で、ニューヨークの喧騒とかエネルギーの鼓動を捉えたと。無造作に混ぜ合わされた雑多な楽想が、ぼんやり滲んで(blur)いながら一つのイメージを構成する。併録ヴァレーズのアンテグラルよりは、素材が洗練されたといえるかも。他ケージ、ライヒ、カーターなど、ニューヨークをテーマにした選曲。 ALPHA274
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  5. * 最初に結論が述べられてしまうような厳しい音で始まり、全体が悲劇的な暗示に満ちているが、その上で舞台に寄り添った多彩で緻密な表現が駆使されている。饒舌な戯曲を2幕のバレエにし、さらにその音楽だけを聴くというのは妙なものではあるが、劇音楽はみなそういうことだな。後味のほろ苦さは、チェーホフに通じるものなのだろうと思う。Melodiya MELCD1001683
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  6. * 通常演奏される2管編成劇的オラトリオではなく、初演機会の17人の奏者に合わせた1管(Fl,Cl,Tp=2)+Cb+打+Pf+Cel+Harmというオリジナル版だそうだ(もちろん独唱、合唱、ナレーションありで、むしろそちらが主役)。素晴らしい出来の作品とはいえないかも知れないが、29歳の出世作の瑞々しさがいい感じで表現されている。Mirare MIR318
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  7. * Vc、Cb、Sax、Guit、Pf、Percという編成。フリージャズみたいな熱狂は、スチールギターの琵琶あるいは津軽三味線のような起伏の大きい詠唱になり、枯れ果てるように消えていく。併録の藤倉大:アバンダンド・タイム、ダヴィドフスキー:フェスティーノ、サーリアホ:さよなら、リンドベルイ:リネア・ドンブラ、それぞれ聴き応えある。New Focus Recordings FCR104
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  8. * エミリー・ブロンテの詩をベースにしたというテキストによる混声合唱+弦楽、一部MS独唱の曲。ゆったりした旋律に凝った和声付けが施され、孤独やほの暗い憂鬱などが歌われる。沁み入る味わい。Ondine ODE1306-2
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  9. * 3人のギタリストに献呈された3つの曲からなる。武満の曲は「ギターでは演奏できないような音」で「限られたレパートリーを洗練された技巧で上手に演奏するだけの趣味」ではないものを演奏者に求めるのだそうだ。併録「すべては薄明のなかで」はそれがブリームの校訂によって完璧にギターにフィットするものに仕上がっており、逆にそれが藤元には違和感だったという。楽器と音楽の関係を考える上でも興味深い。Fontec FOCD9738-39
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  10. * 2011年のピアノ四重奏曲で、分散和音的な主題を核にした(のだと思う)急緩急の3楽章。シーケンサー的な上昇で始まる終楽章は先日聴いたバヨーロのタッシュを少し想わせ、またPfとマリンバの「時のかけら」にも通じるのか。調性音楽ではないものの程よく分かりやすくチャーミングで、生命力もある。それでいいのだと思う。LiveNotes WWCC-7767
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  11. * ミロスラフ・ブレシュの詩に基づく故郷を想う歌。Pf+2Vn+Vaという小さな編成に素朴で優しい旋律の合唱と独唱。全部で4曲作られ、ほかもみな室内楽編成の伴奏で、無垢な響きがじんわり沁み入る。Supraphon SU4198-2
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  12. * 突き刺すような音響が限界を超える強度に至ったかと思うと無重力になったり。思ったよりPfむき出し。12弦楽器のためのアロウラは特殊奏法のオンパレードだけれどシナファイの後だとむしろ穏やかに聞こえ、くねくね具合が面白い。対地星は高い強度の不協和音とグリッサンド、バレエ音楽だそうだが、くねくねして攻撃的な肉食植物みたい。1970年前後のこれらに対し86年のケクロプスはアバド+ウッドワードによる演奏。音が詰め込まれすぎて飽和してしまう強奏部のあとPfとオケの流れが増殖していくけれども目的が定まらないまま終わる。Decca 00028947854302
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  13. * 冷んやり虚ろな哀悼の歌から叩きつけるピアノ、そして破壊的な音響と姿を変え、Pfと電子音が激しく拮抗する中にオケが切り込むが、渦巻きながら宇宙に消えていく。これもまた時代の表現だろう。Pfとテープのための「苦悩に満ちながらも晴朗な波…」は暴力的な爆発よりも凝縮された瞬発的な塊を投げつけての問いかけ。マンツォーニの「質量」は、強弱さまざまな不協和音の長波の中でピアノが抗い舞う。いずれも1970年代。DG 00028947136224
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  14. * 想像上のバレエのためにと副題がある、1956年のピアノ連弾曲。重々しく始まるが、セリー書法なんだろうか、音が飛び回っている。同年のプレザンスは白いバレエというピアノ・トリオ。1967年のVc+Pfインテルコムニカツィオーネは、一つの音から微分音が滲み出したり風のようなスルポンがあったりで、静止主義だそうだ。60/64年の2台ピアノ曲モノローグは静寂と複雑が交互に。DG 00028947773573
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  15. * それぞれが20分強の単一楽章だが、第1番が次第に長くなる15の変奏、第2番が2つの長い変奏、さらに第3番が1つの最終変奏となる連作だという。少しシェーンベルク風のところもあるが、多彩で変幻自在かつ高密度。第3番はピュリッツァー賞も受けているそうだ。Bridge Records BCD9352
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  16. * シーケンサーのように繰り返される上昇音型や反復リズムの上に刹那的なイメージが浮かんでは消えるミニマリストっぽい曲。中間部は胡弓のようなイメージもある。Vnに電子音が重ねられている。シャコン のラッツ・アダーはVnを尺八のように扱っているとでもいうような音響。ほかの曲もVn+電子音のコラボで、下手をすると音の遊びだけになりかねないところだが、何だか面白い。 INNOVA960
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  17. * 2012年のルール・ピアノ・フェスティバルでの委嘱作品。名前のとおり(1曲め以外は)四手のための小品集で、単純な無調音階をもとにいろんな姿を見せる。素朴な書法はこの作曲者としては異例だそうだ。併録のケージはチェレスタ×スチールドラムのような不思議なプリペアド・ピアノの音色が面白い。 CAvi8553276
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  18. * なかなかロマンチックな前衛で、変幻する姿が魅力的。併録はシェーンベルクのOp.11とOp.33a/b、ツィンマーマンのエンキリディオン(手引書とか小教理問答とか)I、II、さらにリストの暗い雲、災厄の星。分量からして手引書がメインなのかもだが、12音のIIはともかく無調だというIは(あえて)平凡なリズムで地味だからぼんやりしていると素通りする。演奏(音色)もやや地味めの印象。 CAvi8553339
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  19. * 現代メキシコの室内楽を集めたアルバムで、ブックレットもスペイン語のみ。この曲の原題Xóchitlはナワトル語らしい。他の作曲家はマールヤン、ガルセス、パルティーダ、ロメリン、ホセ・デ・ラ・パラ。ゴンゴーラのAkelarre(魔女)というのはCbのハーモニクスのアルペジオが面白い。Urtext JBCC271
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