Planet masaka played list 2018-05


  1. * 1958年ブリュッセル万博でル・コルビュジエによる建築、映像、音楽、光のマルチメディア体験のために作られた電子音楽の記念碑的作品で、いま音だけを聴くと荒削りな実験音響だが、動画で見ると妙なタイムスリップ www.youtube.com/watch?v=hkQbs1ankQc さらにリゲティのグリッサンディからマデルナ、ベリオ、ラッヘンマン、ハーヴェイ、ブーレーズ、ファーニホウまで「電子音響音楽の演奏実践」データベース ppeam.zhdk.ch と連動しているという豪華なリスト。col legno WWE2SACD40002
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  2. * Fl+Cl+Trb+Perc+Pf+Vn+Va+Vcという8人編成による、何やら離散的な(自身によるとスペクトルを拡張した)要素が並ぶ。シングルモルト・スコッチの名前を冠した曲をいろいろ作っているそうだ。併録はジャンセンス、ファフシャン、パリス、ネイリンクにスペクトラが委嘱した作品集。いずれもそれなりに個性的だが、やはり離散的というかやや虚な感じも。Fuga Libera FUG730
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  3. * Vaの苦悩するソロと激しいトゥッティが対比される第1楽章、ヴァージニア・ウルフ『存在の瞬間』へのオマージュ第2楽章、ムンク「生命のフリーズ」の「海辺のダンス」を奏でる第3楽章。Vaが空席になる第2部は暗く虚ろな追悼、第1部の激しい回想、そして舞台裏から響くVaとの対話。併録VnとPfのカプリッチョは、休み休み彷徨う旋律が中間部では目まぐるしいやり取りに。Pf独奏の「墓」は中心となる哀歌の両側に5つの習作(Study)と4つの変奏が置かれ、神秘的だったり煌めいたり。Toccata Classics TOCC0487
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  4. * 17の弦楽器が、大きな歯車がゆっくり回転するような動きに笙の響きの和声、そしてバスのうねりに乗って降り注ぐ光。併録の一柳慧「インタースペース」はSQ第2番終楽章の弦楽オーケストラ編曲版。ゆったりした美しいアダージョ。高橋悠治「鳥も使いか」は三絃弾き語り(古事記「天田振」)に管弦楽が絡んでいく。メシアン「異国の鳥たち」はPf+管+打で47種類の鳥の声を素材にしているという。Warner 825646834204
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  5. * クララが焼いてしまったというシューマンの「VcとPfのための5つのロマンス」を思ったタイトルRomances+cinders(灰)が与えられている。生き物のようなチェロの多様で深々とした表現。併録シャコンヌはパウル・ザッヒャーの70歳を祝いSACHERの音をモチーフにしたVc独奏曲、パルティータはアンドラーシュ・シフのために書かれたPf曲。緩やかに広がる響きから軽妙な戯れまで。Genuin GEN14330
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  6. * 「ボブ・ディランによる7つの詩」という副題で、アメリカンな感じのなかなか味わいのある歌曲。ちょうど昨日、都響が日本初演した。併録は「3つの幻覚」でこちらは管弦楽曲。これもけっこう面白い。2009年グラミー賞アルバム。Naxos 8.559331
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  7. * Sop+Pf+リコーダー+ギターという変な編成で、駆け上がる感じの素材で始まり即興ぽくキャッチボールする。題名は北欧語の4であるkvartとラテン語(?)toniの合成のようだ。併録は管弦楽のトーン・クラスターを中心とするハルベルク(ハルベルイ?)の「アスピレーション」、Pf+打楽器+男声合唱で遊ぶルーザスの「ロンドー」、朗読を組み合わせたライティネンの「リネス・レーサ・イ・ラップランド1732」、マウッソンの「胚芽(ドラムの歌)」という、北欧現代作品集。Caprice CAP21903
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  8. * 木々が絡み合う森に迷い込んだかのような、独特の音程間隔で上下する各パートの旋律線がやり取りされる。公開されているスコアを見ると、特殊な要素は少ないが無駄なく書かれていて、精緻なつくり。併録「言葉なし」はCl、「石が割れるまで」はVn独奏、「ボードレールの歌」はSop+Pfと多彩でどれも味わいがある。Alba ABCD415
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  9. * 内部奏法やプリペアドなどいろんな手法で2台のピアノから楽しい音を引き出す、それぞれ標題を持つ6つの「タブロー」。併録はマクロコスモスIV「天界の力学」(4手)、さらにアール・ブラウンのコロボリー(これは3台)。Mode Records MOD-CD-19
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  10. * BC50年頃のローマ詩をマクスウェルが現代訳したものに曲をつけた。調性的ではないけれど叙情豊かな旋律と柔らかな和声の歌曲。併録「マルティン・コダスのカンティガス・デ・アミーゴ」は13世紀のイタリアの詩にちょっと旋法的な味わいと控えめな現代風味。さらに室内楽と合唱による「ヴィルナのヤング」、Fl+Pfの「節回し」、Vc独奏の「デルファイ」。Albany TROY1716
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  11. * 1978年から35年ほどに渡って書き継がれた13曲。2つの属七和音が平行移動する中で生まれてくる「疑問」のテーマ、それとどこかでつながるようなモチーフが、12音技法的になったりしながら、時に活発に、時に柔らかく連なっていく。併録ゴールドスタインの「不動点および流動点について」はややジャズっぽい素材とゆったり波打ち続ける水面に浮かぶような素材が交錯する。Albany TROY1714
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  12. * 交互に繰り出される厳しいD音のユニゾンが滲みながらグリッサンド上昇して、細かな断片に砕け散る。ときおり沈黙をはさみながらスルポンの冷たく硬いノイズ音響が駆け巡った後、音は地に舞い降りて最後にD音が残る。22のセクションから成り、セリー音列が裏にあるのだそうだ。併録コルンドルフの「シュニトケを讃えて」は、ゆっくりした神秘的なコラールに懐かしい響きのトッカータが続き、そして最後に壊れて消えていく。Challenge Classics CC72713
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  13. * 小林一茶の「春の月さはらば雫垂りぬべし」の印象を笙とバイオリンのデュオで奏でる。英訳の結句「To the Touch」がタイトルで、そのままの方が良いのかも知れない。併録の「静かな空気」はこの句と芭蕉の「日にかかる」を題材にSopと笙で表現した曲。ゆったり流れていく。アルト・フルートの「Pale Views」(カズオ・イシグロの『遠い山なみの光』から)とか、アンサンブルの「猫の恋」とか、作曲者の捉えた侘び寂びの表現。Metier MSV28584
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  14. * 器楽奏者がそれぞれ短波ラジオを持って音素材を受信し、その素材あるいは他奏者による「イベント」を模倣したり変調したりして反応していく。楽譜には次のイベントをより長く/高く/強く(+)またはその逆(-)もしくは変更しない(=)といった指示があり、全体を4つに分けた「ステーション」では全員が到着するまでイベントを反復するという。フォルムは規定されるが出てくる音は何でもありという世界。Mode Records MOD-CD-302
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  15. * Flのちょっと呪術的な導入に続いて不思議な島の鳥の伝説がHpを伴って語られる。ルソーが言うところのメロドラマ(語りと器楽の組み合わせ)を集めたもので、併録ケージ「医者へ行く」とか、ライマン「三月」とか、それぞれ妙なる音楽寸劇。 DUX1384
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  16. * ピチカートを多用した細かな断片をSQがやりとりし、10の舞曲が軽々と、捕まえられないように漂っていく。併録リチェルカーリは主題らしいものを持つ5つの変奏の間に刹那的な4つの楽章が挟まれるVn+Vcデュオ。弦楽四重奏曲は長い線が絡まりながら一緒にうねったり切り込んだり倒れ込んだりと、ダイナミックな構築ですきがない。面白かった。Delphian DCD34199
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