Planet masaka played list 2022-06


  1. * 19世紀シカゴの建築運動をテーマにジャズ風やシュールめの新古典などを織り交ぜる3章のピアノ三重奏曲。オーガスタ・リード・トーマスの「太陽の周りの輪」がG音を巡る絞り込まれた音からD音に絡む動きへと変化する2章。シュラミト・ランの「独白」はイディッシュ劇によるオペラを原点にゆったりしたAの分散和音から特徴ある旋法へと。ステイシー・ギャロップの「聖域」はユダヤ民謡の香りがする回想的な前半と再会の喜びという後半。ミッシャ・ズプコの「ファンファーレ80」は短いながらアメリカンな味わいたっぷり。Cedille CDR90000-211
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  2. * Vn独奏の断片的に滲みつつ変化するフレーズに硬質の打が合いの手のように答えていく。「すぐに眠る人の子守唄」はVn+Pfで抒情的。ライナ・スワミナサン「照度:散乱する真実」は民族風Vnに打が即興的に。D.レミニック「セキュリティ」はガラクタ的打と競演。イマン・ハビビ「山ガゼル」はVn+Vcの中近東の香り。M=Tフォーマイの「プリントするカパ」はHpを伴うゆったり反復の三拍子。N.L.ベナヴィデス「クアテス」は柔らかなVn二重奏。D.カールソン「多言語の短神話」はギターと。R.ゼア「オクヨクットル・レクイエム」はPf伴奏で重々しく。K.ヤングは「VnとHpの抒情詩」は不要。Ravello RR8059A
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  3. * 《自由を求めた犠牲者に》という副題を持つ3章で精緻に書かれているが語法が古いような気がするのはなんだろう。「オーボエ協奏曲」はトリルを多用しポルタメント的変化もある民族風な色彩だがやはり何だかいろいろ古臭い感じがする。「おお、光よ」は独奏Vn+2打+8声合唱で仏教テキストとネリー・ザックスの詩を混合させて歌う。Intl Isang Yun Gesellschaft IYG010
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  4. * ギター独奏で武満ぽいにねじれた抒情の感じだが悪くない。ジョルジョ・スカルディーノの「点、線と面」は民族風のリズミカルな動きで始まり柔らかな音に変化していく3章。アルド・クレメンティ「8つの変奏曲」エンリコ・レンナ「5つのバガテル」アンジェロ・ジラルディーノ「甘くて澄んだ夜に」はそれぞれの味わいのギター。パオロ・ロティリの「アッテセ」はハーモニクスなどでゆっくり動くGuitに少し電子音も加えているのか。ステファノ・ペトラルカ「同形の踊り」ルカ・マルゴーニ「声に前兆が立つ」「Gb#01」「ミスターC」はEGuitと電子音の不毛な遊び。Da Vinci Classics DV-C00460
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  5. * アフリカ民謡を素材にしたというリズミックな反復音パターンが繰り返されるミニマリズム風5章でIVのみ子守唄のよう。副題が「白い男が眠る」だが、その題そのままの曲は2Cemb+Vgmb+打で狂った調律でシンプルなパターンが反復される5つの舞曲。これは2Cemb+打の「マテペ」とつながっており、ジンバブエのショナ族の曲“アロイワ・ムワナ”に基づくという。狂った調律で反復されるパターンにマラカスの音が。「小さな毛布で眠る彼女」は4打でボンゴ、コンガの饗宴のあと静かになって最後に微かなMrmb。Musical Concepts MC9242
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  6. * Vn+Pfが反復音とクレッシェンドが短く圧縮された対話をつないでいくが力は流れにならず常に不器用に躓いている。「正午」は単純な1小節がずっと繰り返され中間部から少し変化するがミニマリズムよりもっと質素。「リトカルト男爵夫人」は短くシンプルな3章。「1日家にいて自分のことで忙しい」は短いPf独奏。「耳の聞こえない老人」は蛍の光の奔放な。「収容所で」は音列風のPf三重奏。「トリオーシック・ブルース」は激しいエネルギー。「Ø」は2/3がVa+Pfの音列ユニゾンで最後にVa+Vcも加え急速でリズミックになるがすべてユニゾン。Mode Records MOD-CD-332
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  7. * オリジナルのFl+Ob+Ehr+2Cl+BCl+Fg+CFg+2Hr+2Vn+Va+Vc+Cbという15人編成で木管の切れ味鋭い響きに余計なVibを控えた5人の弦とがっぷり四つに組む。「6つの小品」はピアノ曲のOp.19をホリガーが室内オケに編曲しなかなか艶なる響き。ウェーベルンの「交響曲Op.21」はCl+BCl+2Hr+2Vn+Va+Vc+Hpで十二音技法による緻密で硬質な響き。「5つの楽章」は弦楽合奏版で無調時代の作品。Fuga Libera FUG794
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  8. * 第1部「潮流」はハーモニクスとグリッサンドでうねるオケの硬質な響き。結構煩いところまでいくがすぐ静まる。第2部「出現する」はジェストルメントなるツールを加えたCl協奏曲で、微分音的ゆらぎを持つ独奏とともに静と動を行き来し、ツールによる音の多重化や不思議な広がりが加わる。「波浪」はツール/ライブエレクトロニクスが駆使されるようで激しい中間部や別のCl独奏を迎える静謐な部分など。なかなかの力作。BIS BIS-2559
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  9. * Vn+2打で、静寂の中で揺れ動くフレーズに打が縁取るように応える、かと思えば祭りのリズムになったり激しいパッセージが続いたり哀歌やバラードになったりオルゴールだったり、異なる表情の6章。「夢」「時のかたち」は2打で静かな流れに時おり重いリズムが響いたり軽い金属音が浮かんだりする。Tactus TC950303
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  10. * Vnが1本だけの伴奏で樋口一葉のテキストにほぼ忠実なモノオペラ。日本語をしっかり捉える歌/語りは音として心地よく、ぴったり寄り添いながらも自在な表情をみせるVnが言葉を補い情景を支える。直接書かれていない最後の場面は特に。竹田の《オペラひとりっ切り》第6作。ALM Records ALCD-7174-75
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  11. * Sop+Bar+BBarに室内オケという小編成で、バッハ、シューマン、モーツァルト、ガブリエリの素材を用いエメット氏の最期に幸せだった頃の出来事を回想していくのだという。引用はちょっと聞いてもよく分からないが、曲はしばしば調性的になったり、パロディのように響いたり、電話のベルと会話になったりしつつ、何となく物悲しい。1999年曲。作曲者インタビューのおまけトラック付き。Psappha PSA1002
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  12. * Cl+Vn+Va+Vc+Guitで躓くリズムを反復しながら怪しげな断片を変奏しつつジャズのようになりかかったりビバルディが紛れ込んできたり。「ソナタの大物」はVn+Va+Cembという編成でバロックソナタ風に始まりながらどんどんずれて行きとぼけた滑空やらPizzとハーモニクスの茶々などスラップスティックな遊びの3章。「混合四重奏のための小品」は2Vn+Vc+Cembで古風な素材が切り刻まれた歪な断片となり刹那的に並んでいく2章。「組立室内楽」は電子楽器でボソボソしたリズムやギターもどきの忙しい動きさらにノイズなどが繰り出される。New Focus Recordings FCR328
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  13. * クープランの序曲を素材にした自由な遊び(中間でバロックのフーガが)という2曲の間にいろんな音の矢が繰り出されるアバンギャルドな2曲を置き、最後にクープランの主題も用いつつ声や街の騒音(?)まで登場するこれまでの総合というのか自在な時空で締めくくる。カスパール・ヨハネス・ワルターの「メートル法による不協和音」は独奏打が反復する様々な音のリズムにアンサンブルが反応してハーモニクスなどを発し重ね模様が変化していく。何かの鳴き声のような楽器不明の奇妙な音も入り乱れ。Wergo WER6867-2
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  14. * 高音のギシギシから始まり技巧的に動くVnにライブエレクトロニクスで加工した音を絡ませる。「残存 リスク」はブツブツとしたホワイトノイズ系のコラージュ。「4worte09」はボソボソとした方々からの声にタイプライターやサイン波などアナクロなノイズ。「描かれた時間」は更に陳腐なノイズ。「2の0乗から2の20乗へ」もほぼサイン波。「バーコード」はいろんな人工音のコラージュ。50~60年代頃の実験音楽かと思いきや21世紀の作品だというのでアナクロぶりに驚く。NEOS Music NEOS12205
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  15. * やや虚仮威しぽく始まるが四分音やグリッサンドで捩れながら上昇下降する線に管の長い和音や打撃音が交錯し変化していく。「…光はまだ燃えている」はトラークル他の詩をSopが不安定に歌いスペクトル楽派的なテクスチュアが包む7つの夜の歌。エヴァン・ジョンソンの「目の動き」は空白の中に軋んだ音や頼りない断片がふらふらと浮かぶ4章。ヤニ・フリストウの「アナパラスタシスIII」はテープを加え苦悩するピアニストと「差し迫った災害」を作り出すというがかなり本気の絶叫など不気味。Wergo WER6865-2
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  16. * Sop+Bar+Fl+Cl+Va+Vcで、ブラックユーモア的歌詞と平行移動や交互入替わりする細かなパッセージが動き回る。「四重奏曲第1番」はFl+Cl+Va+Vcで前曲とよく似た感じの短い断片が徐々に変化。「正直に言うと」は忍び足のFl+Cl+VcにSop+Barの奇妙な歌。「三重奏曲第2番」はFl+Cl+Vc。「チェリッシモ・グラデュアーレ」はVc独奏が連符をいろいろ組合せ一人で対話するような。「ミコシュ…超深宇宙探査で失われた」はハッブル望遠鏡のHUDFをもじった不協和音が跳躍するPf独奏。「拍手の歌」はSop+Bar+Pfでナンセンスの度をさらに高めた。へんてこで面白い。NEOS Music NEOS12127
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  17. * オケのさまざまなパレットを使って色を塗りたくるという感じだが構造的に異なる音色の層が絶えず相互作用するということらしい。ヨハネス・シェールホルンの「交差する曲」はクープランのバガテルにあるピエス・クロワゼに因むのか謎掛け遊びのような9曲。ジェラール・グリゼーの「部分」は6曲の連作「音響空間」の第3曲で16/18楽器が順次繰り出す長音に色々絡んでいくいかにもスペクトル楽派の曲。ディッター・マックの「室内音楽 V」は細かな断片がゆっくり響きを確かめながら広がり次第にグロテスクに。Wergo WER6866-2
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  18. * 特殊奏法Pf+電子楽器に管楽器や人声の録音も重ねて音の万華鏡という感じのコラージュ。「星座」はVn+Pfで近隣音のトリルやトレモロから幅広い跳躍まで激しく運動しながら移り変わる。「ヒョン・オー」は副題《海底の魚の夢、光への欲求》のPf+打+電子でこれも色々繰り出す。「ルサック」は副題《泡からの水の変容》30人オケ曲で静寂と煩い咆哮の大きな落差を持ち音色が推移する。NEOS Music NEOS12117
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  19. * ウマル・ハイヤームを歌うSopにHr+Hpが特殊奏法も含む柔らかな表情でいろどりを添える。「歌II」はClを加えた続編で歌というより朗読。「リラ」はSop+BClでニーマー・ユーシージの詩を歌う。「空の周期」はプリペアドPfで古代哲学と天文学から発したイランのリズムを表現。「絨毯」は2SopにVc+2Hr+Tp+Tb+民族楽器で織り歌に基づく。「汝の言葉の囚人」はSop+Vc+Trb+Pf+打でイラン民謡に基づく。「チャハルガ」はVc+プリペアドPfでイラン音楽の旋法による。「林檎の木」はSop+Vc+Hp+打でアフマドレザー・アフマディの詩による。NEOS Music NEOS12206
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  20. * 打奏者が図形楽譜を読み解きながら楽器を選びスティック無しで柔らかな音を自在に紡いでいく。ジョン・ケージの「27分10.554秒」は独奏打がいろいろな楽器を駆使して禅問答。シュトックハウゼンの「ツィクルス」は音程カウベル、アフリカ太鼓などとともにVib、Marbなど。チャールズ・ウォーリネンの「トルコ兵の音楽」は鍵盤打と音程太鼓など。ヘルムート・ラッヘンマンの「アンテリュールI」も複雑精緻。ウィリアム・ヒッバードの「パーソンズのピース」は静かな靄の中で。クルト・シュヴィッタースの「原ソナタ」は声の多様な発音や遊びを電子処理(多重録音?)する4楽章。それぞれ実に多彩。Islandia Music IMR011
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  21. * 独奏Vcが生き物のように動き回り微分音重音、グリッサンド、ハーモニクスやコル・レーニョ、それに打楽器のような胴叩きまで。「デュオ」はVn+Vcでさまざまなグリッサンドの間にPizzなどが組み込まれる2章。「崩壊の歌」はVc+電子音で大きくうねるグリッサンドに続き細かな音がライブエレクトロニクスでかき乱される。「幻影」はVc協奏曲で最初は弦と絡み合い徐々に楽器が増えてEギターも参加する3楽章。それぞれ密度高く聴き応えある。DUX DUX1755
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  22. * 1946年だからパリ音楽院在学中か、シェーンベルク「室内交響曲第1番」をモデルしたという初期作品。ラヴェルの「ソナチネ」はPf曲からの編曲。以下「ソナチネ」で、ピエール・サンカンの46年曲はラヴェルの後継ともいうべき優雅な。アンリ・トマジの48曲は調性を拡大するFl独奏。アンリ・デュティユーの43年曲、フィリップ・ゴーベールの37年「幻想曲風ソナチネ」、エルディン・バートンの48年「フルート・ソナチネ」は調性曲でフランスの香りといえばそうだが。ALM Records ALCD-3107
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  23. * ASax+Vgmb+ビルビニ(リトアニアのエアロフォン)で延々と続くE音ユニゾンに低いDや高いFが少し侵入しHに移ったり。「オッカムXXII」は空気のような前奏からBr独唱がA音から徐々に上昇し奇妙な発声になっていく。ロビンソンとの共作「オッカム・リバーXXII」はASax+BClでD♭から徐々に上昇していく(NMLはオッカムXXIIと同音源という例によって酷いやらかし)。奇妙なミニマリズムのドローン。shiiin shiiineer4
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  24. * Vn+Vc+PfでD.956のスケルツォから触発された11の繊細で奇妙な断片。「ゲディーニ断章」は19世紀イタリアの作曲家が素材。「悲歌」はバセットホルン独奏でメデューサの嘆きを表現。「シフト」はAccrd独奏で上下方向が絡み合う線的要素とホモフォニックな蛇腹的要素の対比。「錬金術」はPf+Vibのデュオでグレゴリオ聖歌「めでたし海の星」によるリチェルカーレだという。「皮肉な夢のような」はTrb独奏にさまざまな加工。「狂作曲家のための4つの歌」はマクスウェル・デイヴィス81歳の誕生日にプレゼントしたSQ。「記憶の迷宮第1巻」は楽しい味わいのPf曲集。「ヴィンテージ」はOrg。NEOS Music NEOS12126
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  25. * 極端な高音ハーモニクスや擦ったりボトルネックを使ったり声が入ったりと特殊奏法を駆使してギターの概念を覆す強烈にして魅力たっぷりのデュオ。福井とも子の「ダブレット III」はよりワイルドなリズムに打的な要素とスライドを組み合わせギシギシ迫る。ブライアン・ファーニホウの「(まったく)時間がない」は微分音調弦で繊細な音を組み合わせていく5章。中谷通の「2_1/64_1」は特殊調弦スチール弦ギターを自然ハーモニクスのみで演奏してまるでオルゴール。アルヴィン・ルシエの「クリス=クロス」はEギター2本で持続音の音程を徐々に変化させ干渉現象を起こすという奇妙奇天烈な曲。すごく面白いアルバム。ALM Records ALCD-126
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  26. * さまざまな音を鳴らすプリペアドPfにFl+Cl+Vaそれにギターが加わって軽妙なモザイクを演出する。「ゆらぎIa」はFl+Cl+Vn+Va+Vc+Pf+打でC音がDとの間で揺れながら開きを拡大しいろいろな断片が加わってくる。「林檎のうしろ」は6人の声楽それぞれが喉にマイクを付けて囁いたりルルルとA♭ほかの音を伸ばしたり鼓動のような音をたてたり。「ピッ」は2台の電子メトロノームが対話する。「ヨイク」はフレームドラムが独奏で多様なパターン。「或いは本質に先立つ嫌悪」はフィストン・ムワンザ・ムジラの詩の録音を分析してオケの音素材を導いたという音楽劇的な作品で途中からムジラ自身による絶叫的な朗読も加わる。Wergo WER6438-2
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