吉松隆交響曲第3番の概要

曲の概要

曲名
交響曲第3番 op.75
作曲時期・場所
1998
初演
1998-12-15 @ マンチェスター(録音初演)
2000-05-25 @ 藤岡幸夫指揮日本p.o.
楽章構成
  1. Allegro
  2. Scherzo
  3. Adagio
  4. Finale
楽器編成
Fl:4; Ob:3; Cl:3; Fg:3; Hr:6; Tp:4; Tb:3; Tub:1; Perc:5; Pf:1; Cel:1; Str
備考
ノート

人間の心の中に〈希望〉や〈調和への希求〉とともに〈怨念〉や〈破壊への衝動〉など様々な情念が混在しているように、20世紀後半の日本に生まれた私の中には大いなる〈西洋クラシック音楽の記憶〉や〈東洋音楽の記憶〉とともに〈ロック〉や〈ジャズ〉や〈民族音楽〉あるいは〈アヴァンギャルド〉〈コンピュータ・アート〉など様々な20世紀の記憶が混在している。それらの感情や記憶のすべてを「交響曲」と言うフォーマットの中に解放し、〈五線譜〉というソフト・ウエアで走る〈オーケストラ〉というハード・ウエアをフル駆動させる音楽。そして、現代音楽が封印してきたメロディやハーモニーそしてビートを完全に解き放ち、ベートーヴェンやチャイコフスキーやシベリウスの交響曲を聴いてワクワクした少年の頃の音楽への情熱を小賢しい知性の歯止めなしに全開にする音楽。私は、そういう音楽を書きたかった。(…略…)

  • 第1楽章:アレグロ。「陰」と「陽」、「希望」と「怨念」、「慈悲あるもの」と「凶暴なるもの」と言った相反する二面の性格が交錯しぶつかり合うドラマとしてのアレグロ楽章。
  • 第2楽章:スケルツォ。ジャズやロックからアフリカやアジアの民族音楽に至る様々なリズムの断片がパズルのように錯綜し変化してゆく、リズムの万華鏡としてのスケルツォ楽章。
  • 第3楽章:アダージョ。アジア風の暗い情念によるアダージョ楽章。2本のチェロが核となって語られる悲歌でもあり、真夜中の走馬灯の中に映る遠い昔の記憶のような仮面劇でもある。第3楽章:アダージョ。アジア風の暗い情念によるアダージョ楽章。2本のチェロが核となって語られる悲歌でもあり、真夜中の走馬灯の中に映る遠い昔の記憶のような仮面劇でもある。
  • 第4楽章:フィナーレ。前3楽章の素材が合流し堆積してゆく大団円としてのフィナーレ。雲の切れ目から射すかすかな日の光が巨大な日の出へと拡大してゆき、太陽の祝祭を迎える。

作曲者自身の解説より

※個人的な関心で手元の資料を中心に調べたデータであり、網羅的な情報ではありません。入力ミスなどによる誤りが含まれる可能性があります。年月(日)はISO-8601スタイルで、1806-10は1806年10月を、1806/10は1806~1810年を示します。演奏時間は、の解釈ほか詳しくは内容に関する説明を参照してください(特に古い録音ではリピートが省略されていること多々がありますが、今のところ区別していません)。